囁く私の声と同時にお母さんが走り寄って来た。
「マリン!」と叫ぶ声が「花梨!」という声にダブって聞こえる。
いつもゴールの前で私が来るのを待っていた母と同じように思えた。
心配そうに見守られながら手を振ると涙していた。
父の姿も常にその横にあった。
姉の姿も、弟の顔も見えていたーーー。
「花梨……!」
今此処に家族の姿はないけれど、私の名前を呼んで駆け寄って来る人がいる………
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……はっ…」
久し振りに泳いだ所為かな。
妙な呼吸だ。
髪の毛は折角セットされたのに見事にバラバラになり、それが顔にくっ付いて気持ち悪い。
剥がすように一つに纏め、ぎゅっと掌で握りしめる。
ポタポタ…と雫が垂れて落ちて行く足元を見れば、マーメイドラインのドレスの裾は捲り上がり、腿が丸見えになっていた。
(やだ。恥ずかしい…)
手で足を隠そうとしたところへ、ぎゅっと抱き締められてしまった。
ふわっと体を包んだ温もりが社長のものだと気付いたのはその後でだ。
「花梨、大丈夫か?」
広過ぎると思い、常に体型を気にしていた肩幅さえもすっかり包み込まれている。
私みたいに小さくもない女子の身体をすっぽりと包んでいる人は……
「……社長?」
息切れの隙間から漏らした声を聞き、ぎゅっと腕の力が加わった。
「マリン!」と叫ぶ声が「花梨!」という声にダブって聞こえる。
いつもゴールの前で私が来るのを待っていた母と同じように思えた。
心配そうに見守られながら手を振ると涙していた。
父の姿も常にその横にあった。
姉の姿も、弟の顔も見えていたーーー。
「花梨……!」
今此処に家族の姿はないけれど、私の名前を呼んで駆け寄って来る人がいる………
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……はっ…」
久し振りに泳いだ所為かな。
妙な呼吸だ。
髪の毛は折角セットされたのに見事にバラバラになり、それが顔にくっ付いて気持ち悪い。
剥がすように一つに纏め、ぎゅっと掌で握りしめる。
ポタポタ…と雫が垂れて落ちて行く足元を見れば、マーメイドラインのドレスの裾は捲り上がり、腿が丸見えになっていた。
(やだ。恥ずかしい…)
手で足を隠そうとしたところへ、ぎゅっと抱き締められてしまった。
ふわっと体を包んだ温もりが社長のものだと気付いたのはその後でだ。
「花梨、大丈夫か?」
広過ぎると思い、常に体型を気にしていた肩幅さえもすっかり包み込まれている。
私みたいに小さくもない女子の身体をすっぽりと包んでいる人は……
「……社長?」
息切れの隙間から漏らした声を聞き、ぎゅっと腕の力が加わった。

