玄関前に真っ黒いリムジンが到着した時、霊柩車か!?と一瞬焦った。
町内ではリムジンが通ると皆が振り返って手を合わせるのが習慣で、火葬場へ向かう仏様が乗っていると思うのだ。

ところが、リムジンから降りてきたのは立派なスーツを着た男性で、黒く光るサングラスにダークブラウンのセットされたヘアスタイルを見た時は、ハリウッドスターか何かかと勘違いした。


男性は付き人の様な中年のおじさんを従えて建物内に入って来る。
グレーのスーツが光って見えたものだから、ラメ入りなのかと思ったが違う。


多分、この人のオーラが光っているのだ。
人の目を引き付ける彼の容姿が、そう思わせたに違いない。

だって、どう見ても180センチはあると思われる身長に、肩幅が広くがっしりとした上半身と、腰回りは太ってもいなくてスマートな下半身。そして、何よりも脚が長い。
着ているスーツも絶対にオーダーメイドだろうし、カフスもタイピンも、どう見ても値段が高そう。

肝心の顔はサングラスに遮られて不明だけど、鼻筋も通っているし、唇には程よい肉が付いている。
顔の輪郭は長方形っぽくて、前髪を軽く横に流し、襟足はスーツに少し掛かっているくらいの長さ。

後は目だな…と観察しているうちに、自分の前にハリウッドスターが現れた。


「いらっ…」

「何処だ」

「は?」