「いい顔をしている」


社長はそう言うと優しい顔で近づいて来る。



(えっ…何?)


ふわっと唇に何かが軽く触れて離れた。
ドキンと大きく震えた心臓の音に、気持ちが付いていかない。


「悪い。つい」


そう言いながら悪びれた風も無い。
社長は私の肩から腕を下ろさず、そのまま抱いて歩き出した。



もしかして、私、今社長にキスされた?
何故?ひょっとして隙でも見せたの?


車のある駐車場に向かいながら頭の中が混乱する。
肩を抱く社長の存在が、胸の中で大きくなり始めてしまったーー。