唇を大きな手で塞がれる。
あれよあれよという間に室内に運ばれてしまい、そのままベッドへと投げ倒された。


ドクンドクン…と心臓が脈打つばかりで声が出ない。
私を取り囲む男達の目が恐くて、何も言えずに睨み返した。


「オネーさんの名前何?橋本?へぇー」


胸のネームプレートを確認して笑う。


「橋本何ちゃんって言うの?俺らに教えてくれない?」


ヘラヘラと笑う顔が野獣のようだ。
ホテル業務をし始めて四年以上になるけれど、こんな体験はしたことがない。


「あれ?何か震えてない?」


「大丈夫?寒い?」


「あっためようか。こうやってさ…」


腕を伸ばした男の一人が肩を抱く。
ビクッとする私の反応が気に入ったらしく、「可愛い〜!」と燥ぐ。


「この女、見た目よりもイイ感じしない?」


肩を抱いている男がリーダー格の顔を振り仰ぐ。


「ああ。足もキレイだよな」


「ホントだー。カモシカみてぇー」


一番若い男の声に、皆が「カモシカ見たことあるのかよ」と馬鹿にする。


「オネーさん、俺らとイイことして遊ぼうよ。楽しませてやるからさ」


ブルブルと震えてきて声も出せない私に近寄るリーダー格の男。


「…や、やだ……」


やっと出せた声は震えてて、それが彼等に火を付けたようだ。