マーメイドはホテル王子に恋をする?!

無駄な話は嫌いな様子。
そこは少し好感が持てるが、きっと反発も増えるだろう。



「…潤ちゃん!」


片山さんはそう声を発すると前に向かって走って行った。
解散と言われたのに勇気あるぅ…と言うか、さすが御局様といった感じ。


ギクッと肩を揺らした「オサナイ王子」は彼女の方へ振り返った。
キョトンとしている顔は、今までとは少し違う雰囲気がしている。


「やーね、忘れたの?片山よ。お土産コーナーのおばちゃん」


自分のことをそう言って指差し、嬉しそうに腕に手を掛けた。


「大きくなったわね〜。此処に遊びに来てた頃は小学生だったのに」


懐かしそうに喋っている。
片山さんを見ている彼は、必死で記憶を掘り起こしているみたいだけど。



「……あっ」


何かを閃いたらしく、高めな声が飛び出した。


「もしかして、あの『酸っぱい夏ミカン事件』のおばちゃんか!」


指を差して驚いた。
片山さんはケラケラと笑い、「やっと思い出したの〜?」と喜ぶ。


「まだ此処に勤めてたのか?!おばちゃん一体何歳になったんだ!?」


呆れたように聞き返す。
片山さんは失礼だね〜と声を上げたけれど、別に怒っているふうではない。


「おばちゃんと言えどもレディなんだよ。もう少し遠慮して尋ねたらどう〜?」


笑い飛ばしながらも諭し、「もう六十五歳になるよ」と大っぴらに答えた。