「私のことをずっと好きでいて下さい。社長のご両親のように、ずっと二人で恋をしていきたい」


何処に行ってもそれなら平気だ。

社長が私のことをずっと想ってくれると信じるだけで、知らない土地でも頑張れる。


「そんな簡単なことか」


あ…簡単とか言った。
一番それが難しいのに。


「わかった。ずっと花梨と恋仲でいるよ。だから一緒に行こう。この町を飛び出して広い世界へ行くんだ。
…そうだ、目の前の海みたいに深くて果てしのない愛を贈る。だから俺に溺れて欲しい……」


言い終わらないうちから背中をに腕が回った。


「花梨、答えは?」と言う彼に「YES」と言えばいいだけなのに声が出せない。


トクン…トクン…と速鳴る胸の音を聞きながら、自分の音も同じように加速していく。


この人がいるなら大丈夫。
いつだって何処へだって泳ぎ続けていける。



「……YES……です」


ぎゅっと彼に抱き付いた。
この人の愛に溺れながらいつまでも果てしない恋をしよう。
二人で愛を贈り続けて、永遠の恋人でいるのだ。



「潤也さん…」


彼のことを私は王子とは呼ばない。けれど、そう呼ぶ人の誰よりも彼のことを愛する。

深くて甘い恋の海に溺れさせる。そして、共に明るい未来を目指して進もうーー。


「花梨…」


重なり合った唇に溢れんばかりの幸せを感じた。


果てしない海のような恋が、この瞬間から始まっていくーー。