マーメイドはホテル王子に恋をする?!

「黙れっ!」


怒鳴るような声が響き渡り、シ…ンと水を打つように全員が口を閉めた。

怒鳴ったのは当然さっきの傲慢ぶりを見せた「オサナイ王子」様で、私の側に立つ片山さんは、ボソッと聞こえない程度の小声で囁いた。


「偉そうになって」


小さい頃を知っているからなのか、唇の端を持ち上げニヤついている。
一体どんな子供だったのだろうかと思いつつ、皆の前に立つ彼を目に入れた。


「皆さん初めまして。私は本社グループよりこのホテルの経営を任されることになった『小山内潤也』です。
これまでいろいろなホテルで経験を積んで参りましたが、社長という重職に就任したのは初めてです。
今後はその積んできた経験と知識を活かし、当ホテルの立て直しを図りたいと思いますので、どうか宜しくお願い致します」


きちんと両腕を体幹にくっ付けたままで深く一礼をした。
頭を下げても上げても揺れもしない髪の毛は、彼の堅物さを物語っているようだった。


「本日は初日ということもあり、直ぐに何かをおっ始めるということは致しません。
ただ、全員もう少し早い行動を取るようにして下さい。集合をかけてから全員が集まるまでに五分以上もかかるようではいけない。
機敏な行動を念頭に置くように。スピード感を持って動いて下さい!それでは以上を持って解散!」