この調子なら話し掛けるのは無理そうだな。

諦めて、私達も券売機に並んだ。



前の方に並んでいた彼女のヒーロー君は食券を買い、友達と一緒に空いている席を確保しに行ったみたいだ。



「あれ?」


「どうしたの?」


「あの人、足少し引きずってるね。」


「え?」


私が彼の足の動きに気が付くと、彼女は驚いたみたいだ。


「朝は擦り傷だけって言ってたのに…。」


「そうなの?」


「うん。チャイムが鳴っちゃうから先に戻りなさいって保健室の先生に言われて、手当てしてるとこまで見なかったから…。」


心配そうに彼を見つめる彼女。


すると、彼女の視線に気が付いたのか彼の視線もこっちに向いた。

彼の動きが一瞬止まって、彼女を認識すると笑顔で手を振ってきた。

周りの友達が、何だ何だと一斉にこちらを向く。



彼女はビクッとして、私の後ろに隠れる…。


「ちょっと!何してるの??」


「だって~…!集団から見られるとか怖い!」



やれやれと呆れて、彼女の代わりに彼に軽くお辞儀をした。