先に口を開いたのは彼女。


「私、帰る……。」


そう言って、立ち去る彼女。


「ちょっ、待てって!」


彼女の腕を掴んだが、振り向いた彼女は涙目だった。


「…っ!」


オレの手を振りほどいて、走り去った。


追い掛ける事も出来ずに、その場に残されたオレは何だか惨めだった。



オレも祭りを後にして、自宅へと向かう。



その途中、花火の音だけ鳴り響いていた。