いつもは30分かかる道がゆっくり歩いてたせいで50分もかかった。


でも時間は余裕だった。


「悠菜!!」


直人と教室に入ると、水城くんと翔くんが待ち構えていた。


まだ教室には他に誰も居なかった。


「聞いた…葵が…本当にゴメン」


「水城くんも翔くんも悪くないよ」


「アイツの代わりに謝るよ…嘘ついてて…」


水城くんが泣きそうな顔をして言った。


「水城くんが謝っても意味ないよ。葵くんが自分で気づかなきゃ…それに…」


言葉につまってしまった。


「それに??」


翔くんが優しい声で言った。


「私をバンドに入れたのは、声が気に入ったんじゃなくて、私と接点を得るためだったのよ…」