好きにはさせない



てか、うん。
有り得ちゃいけない。


そのはずなのに。


「なんで?ダメ?」

「ダメに決まってんじゃん」

「…」


叶斗は、カッコイイとも可愛いとも取れる中性的で綺麗な、そんな顔に困惑を浮かべて首を傾げる。


ほんとに分かってないんだろうか。
いや、分かってないんだろうね。
ってことが汲み取れるくらいには付き合いがある。


だけどそんな無神経なところが苦手でもあった。


「彼女いんじゃん」

「うん」


苦手ってか、嫌いだ。


うんって、躊躇いもなく頷いちゃうところも。
核心に触れたところなのに眉ひとつ動かさないのも。

つか朝あんな仲良さそうに手繋いでたじゃん。


今日の朝だよ?
その、今日のうちに?


「彼女いるからなに?」