好きにはさせない





ガラッって何かにつっかかるような、絡まるような音がして、それがクラスのドアを開けた音だって分かった時には、


「坂下祐奈いる?!」


でけぇ声で名前を呼ばれてた。


相当な勢いで開けられただろうドアは、反対側の枠に当たって跳ね返った。

ガン!だかガタン!だかの音を立てた本人はそれに驚くことも気にすることもなくつかつかとあたしの前に歩み寄ってーーー、



「ふざけんなよ!あんた!」


意味不明な暴言を吐き出す。


それがあたしに対しての発言だと分かるのは、あたしの名前を呼び、あたしの目の前で喚いたから。


だけど意味不明だと思うのは、言われてることに思い当たる節がないから。


あまりに突然すぎて、口を開けてることしかできないあたしに、尚も暴言を吐き続けるその子はーー、



「叶斗と別れてるくせに近づいてんじゃねぇよ!!」


"あの"綾ちゃん。

叶斗の中で、あたしよりもランクの低い。

"あの"綾ちゃん。