好きにはさせない





「祐奈、あんた何かいいことあった?」

「え?何でよ」

「ニヤけてんだけど、さっきから」

京子のそのセリフにあ、やべ、って思ったのはその日のHRの後。

あたしはそーとー嬉しかったらしい。


プライドを守れたことが。

だからってあったこと全部を京子に話したりはしない。
汚いところ全部見透かされて終わるだけだ。

「ふつーじゃん?別に」

「あっそう」


含みのある"あっそう"を吐き出した京子はそれ以上追求することなく携帯に目を落とした。


こいつ絶対なんか疑ってるな、と分かってはいてもやっぱり気分がいいあたしはその後、普段の表情を保ててたか分からない。


「ふぁ」

あんなに寝たのに欠伸が出る。
何でだろ。

気が緩んでる。



だけどまぁ、性格の悪い奴にはそれなりの制裁があるわけで。

どんだけ偽善ぶったって取り繕ったって、それを見抜いてるやつもわかるやつもいるわけで。

多分、これは性格の歪んでる。
あたしへの罰。