好きにはさせない







結局、誰かに想われ続けるのは嫌なことじゃない。
叶斗が、どのくらい、どんな風に、あたしを思ってるのかは知らないけど。


そんなに会いたかったの?なんてどこから目線がわかんないことまで考えてる。

昨日はどうしても彼女を作るのが早すぎたあいつに対しての怒りが上回って死ねとか、そんなことまで言ったけど。



本当に本当のことを言えば、昨日の最低な発言がまず嬉しかった。


"綾じゃなくて祐奈がいいんだけど"


って台詞が頭から離れない理由はそれ。
あの綾って女がどんなやつかは知らないけど、叶斗の気持ちがあたしに傾いてることが嬉しかった。


優越感ってやつ。


だからって朝から笑っちゃうあたしも最低だって、
あたしの中の偽善なあたしが喚いてた。

まぁ、もちろんあたしからかけ直したりはしない。


それじゃあ、ダメだってことがわかる。

きっと叶斗は、あたしがかけ直してくれるって思ってるだろうから。
そんなことはしない。

あたしと別れたこと、せいぜい後悔すればいいと思う。


あたしってやっぱ、


「性格わりー…」

やっぱり嬉しそうな声が、部屋に静かに響いた。