タクシーに乗って1時間弱、本社の前に到着した。
有名な高いタワーのようなビルの30階が入社して4年間勤めた部署がある。
まずは、最上階にいるであろう社長室へ向かった。
社長はとても気さくな方で、とてもふわふわしてる。
名前は鈴木慧(スズキ スイ)さん。男性。
就活中の私ははじめ若い社長さんだな~って思ってた。ところがどっこい、最終面接で出迎えてくれた人物は50半ばのおじさんだったの。
あまりのギャップにとても失礼なことを言ってしまったと思い出す度に反省してます。
大変申し訳ございません。
『オッサン』なんて心で言ったことが漏れちゃって。
採用してくれて大変感謝してます。
ありがとうございますっ。
「姉田くんいつまで頭下げてるんだい?」
「あ、すみません!社長と面接した時のことを思い出してしまって……っ」
うわ、何余計なこと言ってんの自分!恥ずかしいからっ!馬鹿!
「ハッハッハ、確かに懐かしい。あの言葉は一生忘れないと思います。たしか、……オ、」
「それ以上言わないで下さい!お願いしますっ、凄く反省してますからっ」
すがる勢いでまた頭を下げると、「君は面白い。来てくれてありがとう」そう言って笑った。
目頭が熱くなるのを堪えて私も笑って、ひと声かけて社長室を出た。



