「美紅、部長はあんたにキスしたんでしょ?」
「う、はい」
「その時の記憶今さっき思い出してたよね?」
なんで分かったの、怖いよ真凛……。
私はぎこちなく頷いた。
「その原因あったでしょ」
原因?そんなの……ヒィ!
お願いだからそんな怖い顔しないでよ!
もっと思い出せ美紅っ。
キスされる前を必死に探した。
恥ずかしいけど、仕方ない。
会議中寒くて仁田くんからジャケットを借りた。それからランチをしようと約束して……この後がそれに繋がる場面に切り替わった。
「それだよそれ。部長のキスの原因」
真凛はストローでアイスコーヒーを飲んでからそう言った。
「仁田くん?」
「そう、嫉妬だよ嫉妬」
「誰に?」
「……ねえ、マジでほんと殴るよ?」
「やだ。ごめんなさい。仁田くんにですよね、はい」
大きなため息を聞いた。その音すら怖く感じて鳥肌がたった。
……部長が嫉妬。
だから、キスしたの?
「もっと分かりやすい表現してくれればよかったのに」
「いや、かなりしてるよ部長。美紅がバカすぎなだけだよ。初めて見たこんな鈍感すぎる人」
散々言われた私は保っていたライフバロメーターが0以下に達した。



