こんなことって有り得るのだろうか。
もしその言葉が現実なら部長は……。
「まりん、どうしよ」
「美紅」
「部長、私に転勤するってこと知らせてくれてたみ、」
「ちっがーーーう!」
バシンとテーブルを叩いた音がそこら中に響いた。
何より真凛の声が遠吠えのようなことに驚きを隠せない。
「あんたなんでそこに行っちゃうの!?ほんと馬鹿なの?ちょっとこれは馬鹿すぎ。なによもう、変に期待しちゃったじゃんよ、モーッ!」
何度もテーブルをバシバシ叩く姿に私は放心状態。
心が痛い。
うぅ、メンタルズタボロだよ。
なんで馬鹿馬鹿言われないといけないの。もう私28だよ。
「転勤もそうかもしれないよ?でももっと重要なとこあるでしょーよ!」
……あの、重要なことって何ですか。
「っ!いっ、イッタイ!イヒャイいひゃい!!」
「美紅がいけないの。これくらい耐えなさい。部長の方がもっと痛いんだから」
「……ふぇ?」
つねられた頬がヒリヒリする。
頬を押さえながらしかめっ面の真凛をみた。



