「はあっ…はあっ…」





つ、疲れた…


もう一歩も動けない…





下駄箱までやってくると、私は足を止めた。





荒い呼吸を繰り返し、壁に手をつく私とは対照的に、蓮は息一つ乱していなかった。





蓮って実はやればできる子なんじゃない…?





運動神経とかよかったりして…





そんな疑問を浮かべていると、ニコニコとした蓮が近づいて来た。





「なっちゃん」


「な、なに?」





チャイムギリギリということもあって、周りには滑り込みを果たして生徒たちで溢れかえっていた。





そして蓮はそんな周りのことなど気にしず、こう言ったのだった。





「ご褒美のチューしてよ」





「なっ…!!」





蓮の声に反応するように、周りの視線が一気に私へと向けられた。





「ばっ、ばか蓮!なに言ってるのよっ!」





私は顔を真っ赤にさせ、蓮を怒った。