「そんなに遅刻したくないの?」


「当たり前でしょっ」





乱れる呼吸を整えていると、蓮がなにか閃いたような顔をした。





「僕走るから、遅刻しなかったらご褒美ちょうだい」


「ご褒美?」


「うん、ご褒美あると思うと頑張れるよ」





そう言う蓮の目はキラキラと輝いていた。





そもそも蓮のせいで遅刻しそうになってるのに、なんで私がご褒美をあげなきゃいけないんだか…


それになんだか嫌な予感がする。





…そう思ったが、蓮がやる気を出してくれそうだったため、仕方なく私は首を縦に振った。





「やった~じゃあ、なっちゃん、しっかりついてきてね」


「えっ、ちょ!れ、蓮っっ速いよ~!!」





蓮は私の手をギュッと握ると、物凄いスピードで走りだしたのだった。





蓮ってこんなに速かったの!?


速すぎて、体がついていかないんだけどっ!!





蓮に引っ張られながら走ること、数分。





なんとかチャイムギリギリに校舎へと滑り込みに成功した。