「ほらっ上を向く!」





そう言うと、私の顎を持ち、グイッと無理矢理上へと向けたのだった。





「上手く話さなくていいんだよ。今の自分の気持ちを伝えるだけでいい。上手く話そうなんて思わなくていいよ!」





「渉くん…」





渉くんは温かい笑顔をみせ、私に元気づけようとしてくれた。





そうだよね…


上手く話せなくてもいいんだ。





蓮にちゃんと伝わればそれでいいんだ。





渉くんのおかげで、ようやく決心がついた。





「渉くん、私行ってくる!ちゃんと自分の気持ち伝えにいくよ」





「うん!流石なずなちゃん!大丈夫、ちゃんと伝わるから」





グッと親指を立て、最後の最後まで私を応援してくれた。