黄色い傘の少女

あれから、何年もして。
僕は高等学校に入学した。

いない。
もう、あの子は、いないんだ。

西原さん。
あなたは、誰なのでしょうか。

昔の制服を着ていたあなた。
昔の人なのでしょうか。

「君。」

そうだ。
たしか、こんな声だったけな。

「君、何、ブツブツ言っとんの?」

「に、西原さん?」

「なんで私の名前知ってるの?」と言いたげに見つめられた。