だからかな。

和真君には、感情を出してほしいと思った。

私は、ハンカチをブレザーのポケットから
取り出すと、和真君に差し出した。

そして、気が付いたら言葉にしていた。

「泣きそうな顔をしていたから。
 ごめんね。
 ここ、和真君の特等席だったよね?
 私は、別のところに行くから、
 泣いても大丈夫だよ。
 このハンカチ、使っていいから!」

ぽかんとしている、和真君の膝に
無理やり、私のお気に入りの花柄の
ハンカチを乗せて、
私は走り始めた。

でも、ここは斜面がキツイ。

走り初めてから、気づいたが
後の祭り。