バキッ

枝の折れる音。

「......⁉」

ハッとして、僕は音がした方に顔を向けた。

そこには、驚いた顔で僕を見た
響がいた。

何で、ここにいる?

ここは、校舎裏の山に続く、坂道を少し登ったところ。

普通の人は来ないはず。

なのに、何故いる?

疑問に僕は苛まれていると、
いきなり響は、僕にハンカチを渡してきた。

「はっ?」

意味がわからず、僕は声を発する。

「泣きそうな顔をしていたから。
 ごめんね。
 ここ、和真君の特等席だったよね?
 私は、別のところに行くから、
 泣いても大丈夫だよ。
 このハンカチ、使っていいから!」