スーパーアイドル拾いました!

 アパートに帰ると、ため息がもれた……

「シャワー浴びてくるね」

 柚奈はそう言うとお風呂へと向かった。


 シャワーを浴びながら、今日の海斗はなんだったんだろうと頭を過る。

 ドラマの演技の練習でも始めたのだろうか?

 そうだとすると、ここを出て行くのも……

 ロングTシャツに、ハーフパンツで、髪をタオルで乾かしながらリビングに入ると、ソファーの前のテーブルに、チーズと生ハムのつまみと、冷えたワインが用意されていた。


「一緒に飲もうと思って……」

 海斗が恥ずかしそうに柚奈を見た。


「ええ―っ。凄い―」


 さっきまで考えていた事も忘れ、笑顔いっぱいになった柚奈が、ワイングラスを手にすると海斗が白ワインを注いだ。


 二人でグラスを重ねてワインを口にする。


「美味しい――。最高――っ」


「良かった」

 海斗は嬉しそうな笑みを見せた。


 柚奈はこんな夢みたいな時間を一生忘れないだろうと思った。

 何故か、海斗がもうすぐ居なくなる気がして、少し不安になる。


 他愛も無い話をしながら、ワインが進む……


 結構飲んだのだろう…… 


 柚奈もしっかり酔いが回っていた。


 そろそろ、片付けをと思い立ち上がった柚奈は、ソファーに足が引っかかりバランスを崩した。

 海斗の手が伸びて来たかと思うと、柚奈の腕をがっちり掴み、そのままグッと抱きしめられた……