「まるで、甘いお菓子みたい。すごく、良い匂いがするのね」
彼女は、そう言いながら、何も身につけていない僕の首に、手をまわす。
僕は、笑顔を作り、彼女の頭を、ポンポンと、撫でる。
すると彼女は、すごく穏やかで、優しい笑みを浮かべる。
そして、僕に、こう言ってくれる。

「大好きよ…。翔ちゃん。離れていかないで…嫌いにならないで…」

目を閉じ、安らかな笑みを浮かべて眠るその姿は、僕にとっての聖母そのものだ。

僕は、そっと彼女の手を握り、
このまま、時が止まってしまえばいいのに…
そう、願うのだった。

貴女がどんな姿でも、
貴女がどんなに苦しんでいても、

僕は、貴女を、愛している。