「なんで言っちゃうんですか」
「言わせたのお前だろう」
「そうなんですけど、そうではなく…………」

エレンは珍しく口ごもる。

「で、返事は?」
「…………貴方こそ、分かってて聞いてるでしょう」
「知らんな」

そう言ってダンテは楽しげに笑う。
そのダンテにエレンは苦々しい顔をした。
それから少しの逡巡の後、息をついて口を開く。

「分かりました。ただ、その前に1つ伝えておきたいことがあります。それでも貴方の気持ちが変わらないというなら、私は返事をしましょう」

それでいいですかと、エレンが尋ねる。
何の話なのか全く想像がつかないが、聞かなければ話が前に進まないのだろうとダンテは思い、頷いた。

そして、エレンは静かに語りだす。
それはフェアファクスについての話だ。
その内容にダンテは驚きを隠せない。

「話しておきたかったことは、以上です。どうですか?」
「…………なんつうか、色々衝撃過ぎて頭が追い付いてない」

けど、とダンテは続ける。

「納得もいった。お前もヴィンスもじいさんも、ちょっと変わった才能を持った一般人とはどうしても思えなかったし。長年の疑問がすっきりした」

ダンテの言葉に、エレンは数度瞬きを繰り返す。