「お前が何を怖がってるのかは分かってる。でも、だからこそ俺はお前の横にいたいと思う。俺が望んだわけじゃないが、体は一般人なんかより丈夫だし、腕っ節にも自信がある。それに、俺の生き汚さはお前も知ってるだろ。簡単になんて死んでやらない。俺は絶対、お前を置いてどこかに行ったりしないから」

だから傍にいさせてほしいと、ダンテは言う。
最後のほうはもう懇願に近い。
エレンは相変わらずうつむいたままだ。

「………んで」
「?」
「なんで、そこまでするんですか」

絞り出すように、エレンが言う。

「それ聞くかね。お前気づいてるだろ」
「…………」

ダンテの言葉にエレンは無言である。
そんなこと知るかとでもいうようだ。
そういう態度をとるならと、ダンテは口を開いた。

「お前が好きだからに決まってるだろ」

まさかすんなりと答えが返ってくると思っていなかったらしいエレンが、勢いよく顔を上げた。

「やっとこっち見た」

ダンテが肩を竦めた。
エレンは何とも言えない複雑な表情を浮かべている。