ダンテはスマートフォンと目の前に立つ建物を見比べて眉間に皺を寄せる。
目の前にあるのは所謂タトゥースタジオ。
スマートフォンに表示したアプリがさしているのはどう見ても目の前の建物だ。
あの状況でイアンが嘘を教えるということはないと思っているので、おそらくここで正しいのだろうが、どうやってもエレンとこの店の接点が分からない。

そうこうしていると店の扉が開いた。
そこから出てきたのはエレンだ。

ダンテの姿を見止めたエレンが驚愕する。
そんなエレンに対して、ダンテは軽く手を上げた。

「………イアンですか」
「正解。ちょいと話がしたいんだが、大丈夫か?」

尋ねれば、エレンは少しばかり間を置いた後、頷いた。

「私の家で構いませんか?」
「おう」

そう言い、ダンテはヘルメットを差し出し、バイクに乗るように促す。
エレンはそれを大人しく受け取り、ダンテの後ろに乗る。
エレンが乗ったことを確認し、ダンテはバイクを走らせた。

エレンの家まではバイクで20分ほどだった。
運転中はもちろんの事、部屋にたどり着くまで、2人の間に会話はない。

「なんであそこにいたのか聞いても?」

エレンが紅茶を入れ、ソファーに腰を落ち着けたところでダンテが気になっていたことを聞いてみる。