「はいよ、今日はどんなご用件で?……………いいぜ、んじゃこれからそっち行けばいいか?………りょーかい。じゃ、また後でな」

通話を切ってスマートフォンをポケットに戻す。

「たく、今度はどんな仕事かね」

ダンテは1つ息をついた。
が、言葉とは裏腹に、その表情はひどく楽しそうだった。

向かうは旧市街の住宅地。
その一角に立つ4階建てのレンガ造りの古びたマンション。
元々会社の入っていた建物なのだが、外観はほとんどそのままにマンションにしたものだ。
外観こそ古いが、オートロックのゲートなどセキュリティはそれなりの物が備わっている。
エントランスである1回を除いて、部屋の数は各階に2部屋ずつの計3部屋。
目的の部屋は4階にある。

インターフォンを鳴らすと少し間をあけてからインターフォンから声が聞こえてきた。

『新聞の勧誘はお断りでーす』

聞こえてきたのは男の声。
家主とは違うが、よく知った声だ。
ダンテはふと息をついた。

「馬鹿なこと言ってねぇでさっさと開けろ、イアン」
『きゃー、怖い!』
「イアン」

少し強めに声の主を呼べば「ういーっす」という返事があった。
まもなくしてでてきたのはまだ幼さの残る少年。