そう言えば、いつだったかヒューにパーティーに連れていかれた話を聞いた記憶がある。
彼女とて大手企業社長の孫娘だ。
こういった場所に出てきたとておかしくはない。
が、ダンテは完全に不意を突かれたような気がしていた。

そして何より、エレンの横に知らない人間が立っているというのが衝撃だった。
年齢はダンテと大して変わらないくらいだろうか。

ヒューが誰かを連れていることは珍しくない。
が、それがエルドレッド以外で、しかもヒューではなくエレンに付き従っているような雰囲気がある。

何故そこにあの男がいるのだろう。
そう思うと、何かどろりとしたものが湧き上がってくるような気がした。
だが、ダンテはすぐさまそれを押しやった。

何を考えているのだ。
自分とエレンでは住む世界が違う。
おそらくはあの青年は将来エレンの部下候補なのだろう。
であれば何の問題もないはずだ。
寧ろ、自分が怒りを感じることがおかしい。

ダンテは誰にも気づかれぬよう、息を吐き出した。

一通り挨拶を熟し、パーティーの主催者の面白くもない挨拶も終わり、ダンテは適当な理由をつけてブレンダン達から離れて飲み物片手に壁にもたれかかった。