EGOIST

「、」

ダンテは寸でのところでそれを避けるが、今度は少女の拳がすぐそばまで迫っていた。

「うお？！」

咄嗟に両腕で顔をかばいながら横に転がるようにしてそれを避けたことで難を逃れた。
しかし、少しかすったのか上着の袖が破れる。
かすっただけのはずなのに、腕に鈍い痛みを感じる。

「掠っただけでこれかよ………」

体勢を立て直しながらダンテはぼやく。
ここへ来る際にヒューから腕用のプロテクトを借りてきていたのだが、これがなかったら少し痛いだけでは済まないだろう。
その事実に顔をしかめるダンテに凶悪な足と拳が迫る。
ダンテはそれを交わす。
だがダンテが何かを仕掛ける前に再び拳と足が襲い掛かってくる。

ダンテはそれをギリギリのところでかわす。
だが、このままでは埒が明かない。
ダンテは一度2人から距離を開ける。

「目と耳を使い物にされたくなかったら俺がいいっていうまで目を閉じて耳をふさいでください」

そう早口でインカムに向かって呟いた。
そしてレッグホルスターから引っ張り出した手のひらサイズの円柱を放り投げた。
それが近づいてくる2人の1メートル手前で落ちて爆ぜた。
それと同時にまばゆい光と強烈な音が室内を支配する。
数秒後、ダンテが目を開け、もう大丈夫だとインカム越しに伝える。
2人は反応しきれなかったのか、蹲っている。