「一般人である彼を巻き込むのは気が引けるが、彼以上に適任者がいないのも事実じゃろう。すまんが力を借りるぞ、ダンテ」

ヒューの言葉に、ダンテは黙って頷いた。

「んじゃ、じーさんの許可も出たところでざっと現状を報告するぞ」

そう前置きし、イアンが話し始めた。

「今回のエレンの仕事は秘密裏に刑務所から出されていたフィランダー・レドモンド死刑囚の行方の調査と確保」

フィランダーの名に、ダンテの肩が揺れる。
顔には動揺が見え隠れするが、イアンはそれを無視して話を進める。

「奴を逃がした輩に関しては既に情報をハーヴェイに回して処置のほうを頼んである。で、問題はエレンのほうなんだが。エレンは今日の午後、フィランダーと深い関係にあったマーシャ・スキナーと面会。その帰りに拉致された。拉致していったのは2人組。十中八九、フィランダーの遣いだな」

そう言いながら、イアンはノートパソコンにその時の監視カメラの画像を表示させ、全員に見えるように向けた。

「で、エレンはボディーガード3人いたにもかかわらず拉致られたと。ちなみにボディーガードは無傷」