「私、これがいいです!」


そう、私が目を輝かせながら手に取ったのは、ダイヤも何もついていないシンプルな指輪。


「それ、何もついてねえだろ。どうせ、お前のことだから値段とか気にしてんだらうけど・・・」


「違う。違います。これなら全く同じものをつけられるから。ダイヤも何もなくていい。私は、同じ指輪を春馬さんとつけたいです」


「・・・そうか。じゃあこれにしよう。すみません。これにします」


可愛い指輪ばかりで目移りしそうにもなったけれど、一番は春馬さんとお揃いでつけたい。その想いが伝わったみたいで春馬さんの表情はなんとなく嬉しそうにはにかんだ笑顔だった。




「こんな贅沢をしたら、バチ当たります!」


指輪を買った後、 話をしようと連れてこられたのは、ホテルのレストランのカップルシート。


二人がけのソファに並んで座ると目の前にはキラキラと夜景が広がっている。まるでさっき見たダイヤモンドのように綺麗。


「理央、ずっと言わなきゃいけないと思ってた。我慢ばかりさせてごめんな」


私が夜景に見惚れていると、春馬さんがそう言った。我慢?とんでもない。


私はそんなこと一度もしていないし、こんなにも大切にされている。