そして、2人の姿は仲良く手を繋いだまま夢の奥深くに溶けるようにゆっくり消えて行った。
ーーーー重い瞼をあけて、暗闇の中から出る。
見ていたの夢のことについて浮かぶ疑問に首を傾げて呟いた。
「あーくんって、誰だ?」
ほんとに誰だよ、あーくんって。全然記憶にないなぁー。あの女の子は確かに昔の私なのだが、隣の男の子のことは知らない。好きだとか言い合ってたが、昔の私に好きな人なんていたっけかな?…思い出せん。
「沙耶ー!起きてるの⁉︎遅刻するわよ!」
一階から聞こえた母の声に考えるのをやめて時計を見る。