<紫陽花>

滴り落ちる梅雨の滴

滴り落ちる私の滴

何でだかこの時期は

無性に泣きたい気持ちになる

雲が空を覆い

雨粒が空気を濡らす

雲が太陽を隠し

雨粒が大地を潤す

心を濡らす

そうすると、涙のタンクに水がたまって

ポツリポツリ

ポツリポツリと溢れてくる

モノクロのように色のない世界

感情を失ったような世界

暗い感情が沸き起こる梅雨


目を閉じれば暗闇

目を開けても薄暗闇

辛い思い出がよみがえる


ふと目をそらしたとき

目に入ったそれは

雨粒を、したたらせて

滴を喜んで受け入れて咲いていた

モノクロの世界にひとつだけ

鮮やかな紫

暗闇の中の一筋の光

そう思うと涙が徐々に途絶えていく


梅雨は夏への通り道

暗闇の次は真っ盛りの太陽

だから大丈夫大丈夫だよ

それはそう訴える

雲が晴れて太陽が顔を出す

鮮やかな紫陽花を囲むように

虹が空に浮かんでいた