言葉が出ない私をよそに、2人はお願いと言わんばかりに、顔の前で手を合わせている。


 「わかったよ。今度海斗さんに、お願いしてみるよ。」


 「ありがとう紗姫。」


 そんな私達を黙って見ていた心結が、呆れ顔で一つ溜め息をつく。


 「あんた達その会話、卒業式の日にすることないじゃん。」


 うっ…。ごもっともの意見に、苦笑いをしてしまった。





 『これより、第52回卒業証書授与式を始めます。卒業生入場。』


 教頭先生の声で、体育館にいる人達が一斉に拍手と体育館の入り口に注目している。


 その中を1組から、順番に入場する。私達は4組なので、まだ時間があった。

 「恥かしいね。」

 クラスの子達が口にしていたときに、担任教師が


 「整列しろ。次だからな。」


 先生の声で、ざわついていたクラスメイト達が静になり、その雰囲気で、私も緊張してくる。