海斗さんは、ただ抱きしめて、2人で海を眺めていた。


 「なぁ紗姫。願掛けしょうか。」


 ふいに海斗さんが口を開いたと思ったら、願掛けをしょうと言う。


 「願掛け?」


 海斗さんを見上げ、首を傾げて聞き返す。


 「そう。願掛け。明日から、紗姫の合格発表がある日まで、連絡をしない。その変わり、紗姫の卒業式の日に必ず会いに行く。」


 「お互い自分の夢を叶える為に、一番大切なことを我慢しょう。」


 海斗さんは私の為に願掛けをしょうとしている。たった一ヶ月半。私は絶対に合格して、海斗さんに会う。


 「絶対に迎えに来て下さいよ。」


 海斗さんの前に左手小指を出した。


 「海斗さん指切り。」


 お互いの小指を絡めて。


 「指切りげんまん。嘘付いたら、針千本飲ます。指切った。」