「俺、明後日から、一ヶ月半大学の教授に付いて、イタリアに行ってくる。」

 「えっ…。」


 海斗さんの言っていることが、理解できない…。


 「紗姫。俺が先生になりたいことは、知ってるよな。」


 私は静に頷く。


 「何科は言ってなかったけど、俺社会科、世界史の教師になりたいんだ。」


 海斗さんは、ゆっくりと、自分の夢を話し出す。


 「イタリアは、歴史が沢山あって、一度行ってみたいと、思っていた。
今回特別にローマ遺跡の発掘に同行させて貰うことになったんだ。」


 「紗姫泣くな。」

 海斗さんに言われて、自分が泣いていることに気づいた。

 「別に、永遠の別れじゃねぇじゃん。一ヶ月半には、帰ってくるし。」


 海斗さんが優しく涙を拭いてくれる。

 なぜこの時に涙だが出たのかわからない。ただ分かるのは、胸騒ぎがいていた。