ずっと先を歩いていた、海斗さんが不意に立ち止まって、こちらに左手を差し出して、待っていた。
追いついた私の右手を黙って握ると、今度は、私の歩幅に合わせて、ゆっくりと、歩きだした。
「海斗さん、手」
初めて、男の人と手を繋いだ私はどうしたらいいのか、わからない。
わたしの手をスッポリと包む大きな手に、私の鼓動は早くなる。
「また、迷子になったら、大変だから。」
意地悪そうな笑みを見せながら、笑う海斗さん。
大きくて、温かい手に優しいを感じる。
私の心はもう、海斗さんを好きな気持ちが溢れ出していた。その温かい気持ちに、少し涙が出た。
振られてもいい。もう、会えなくなるかもしれない。でも、この気持ちに嘘はつきたくない。
今日、この気持ちを伝えたい。いや、今日この気持ちを伝える。
隣にいる海斗さんをそっと、見上げて、心に誓った。
気持ちを伝えると決めたら、なんだか緊張してきた。海斗さんと繋いでいるてに、少し力を入れた。
海斗さん少しだけ、勇気を私に下さい。

