昇降口で、心結と別れた。
上靴を履き替えて、進路のことを考えながら、校門に歩いていく。
「神崎紗姫」
私の名前を呼ぶ声が聞こえたので、顔を上げると、そこには、昨日の男が立っていた。
また昨日の事を思い出すと、怒りが、沸き起こる。私は無視して、男の脇を通り過ぎようとした。
「おい!シカトするな。人がせっかく、落とし物を届けに来たのに。」
忘れ物と聞いて私は男の方を見たら、そこには、グレーの小冊子に校章の付いた生徒手帳を持っていた。
昨日カバンを投げつけた時に、どうやら落としていたらしい。
「どうも、ありがとうございました。」
お礼をゆって、手帳を受け取ろうとしたら
「ちょっと付き合え。」
そう言うと、私の返事を待たずに、男はさっさと歩きだした。

