湊は深いため息をついた。

「溜息なんて、湊らしくないぞ」

背後から聞きなれた青年の声が聞こえる。

「はぁ・・・・・・・・」

湊は、後ろ振り返りその顔を確認して、今度はまた違った意味を帯びた溜息をついた。

「おい、今俺の顔を見てから溜息ついたよな!わざとか!俺のことがそんなに嫌いなのか」

「朝から、テンションが高いんだよ、漣は・・・」

「テンションが高い???いやいや、お前がテンション低-。」

漣は勢いで湊の肩を叩こうとするためにだした手を引っ込め、少し悲しげな表情を浮かべる。

「悪い・・・、そうか、今日だったな。」

「いや、いいんだ・・・こっちこそ悪いな変に気を使わせてしまって。」

湊は悲しそうな、寂しそうな、そして消えてしまいそうな笑顔を浮かべる。

「大丈夫だよ、漣はいつも通り接してくれ。そっちのほうが助かる。あまり周りに気づかれたくないんだ。」

「ん・・分かった。」

漣は肩をたたくこと辞めた手で湊の背中をそっと触れた。