激しい雨が打ち付けていくから、2人共びしょ濡れになっていく。
特に目の前の彼女の黒髪は雨に濡れてどんどん水を滴らしていた。
「…あなたは自分を水の中だと言う。」
そんな彼女が声を出す。
僕らの身にまとっているもの全てが濡れていくのを気にせずにお互いに時が止まったように向き合っていた。
「…だとしたら、私だってきっと水中にいる。」
無意識に彼女から逸らしていた視線を驚きと共に、切れ長の目へ移すと、
静かに光った気がした。
「…だけど、私、
───… ここが好きなの。」
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