「…ほらやっぱり、理由なんてないじゃない。」
「…大体君と僕は全然違うんだ。それを言葉にして理由にあげるなんてキリがなさすぎて無理だ。」
「全然違うって何が?そんなのこじつけでしょ。あなたは決め付けているだけ。自分が水中にいるとか周りが陸にいるとかそんなの関係ないでしょ。」
彼女の言葉に、僕の足がピッタリと止まる。
それに気づいたのか、彼女も僕を見て足を止めた。
ため息をついて振り向かれるから向かい合うような形になる。
「…君に僕の気持ちが分かるわけがない。何も知らないくせに言わないでくれ。」
そうだ、誰にも分かるはずがないんだ。
なんで傘に入れてくれただけでクラスメイトに説教されなきゃいけない?
なんで分からないくせに知っているような口ぶりで言われなきゃいけない?
「…別にいいんだけど。」
興味がなさそうに、ふーっと長く息を吐き出したかと思えば、
頭上にあった傘をそのまま下へと下ろした。


