「昨日の番組見たー!?」


「見たよっ!かっこよかったよねー!!」




放課後、騒がしい廊下を歩く。




「今日カラオケ行かねえ!?」


「また!?いいけど、バラード身につけたんだよね?」




部活に行く人、これからの予定を決める人、友達と喋る人。




そんな中を1人で通り抜ける。



右肩から斜めがけしているショルダーバッグが、やけに重い。




僕には友達なんていなかった。欲しいとも思わなかった。




ぶくぶくぶくぶく。耳に聞こえる水中で木霊する音。




こんな狭くて目を閉じるだけで精一杯な水中にいると気づいた時には、




希望も言葉も泡になる。