愛しい人


「らーっん!」


誰かに背中を押された。私は即座に後ろに振り向く。


「楓!朝からびっくりするよ~」


楓は保育園の頃からの私の大親友だ。


「ひひぃ~。さて問題です。今日は何の日でしょうかっ?」

「ん?今日?・・・水曜日だよね」

「違う!!もう〜忘れたの?席替えだよ!」

「あ~席替えね。」


っとあっさりと答える私。今の私の席は廊下側だし席替えをする必要はとくにない。


「うわぁ。藍、塩対応すぎる~しょっぱしょっぱ」


と笑いながら顔をしかめて笑う楓。

楓の席は一番前だしよく先生にあてられるのでとても不便で可哀想だ。


「今度は後ろだったらいいね~」

「後ろも良いけど、私は八王子君と隣同士になりたいなぁ~」

「八王子君か~。隣の席同士になったら女子の目怖そうじゃん」


八王子君は他校の女子にも告白されるほど人気のある男の子だ。


「その怖さを勝ち抜いたものが八王子君とラブラブ出来る権限をもつのよ」

「えっちょっと待って。楓本気なの?」


楓は歩くのを止まった。そして暗い顔で振り向いた。

楓は恋してる乙女オーラ?を出している。私には分かった。


「私、応援するよ!」


親友の恋だもん!応援してなんぼじゃい!

すると、突然楓は笑いだした。

戸惑う私。


「私、何か変なこと言った?」


恐る恐る言う。

「うん!言った!冗談だよ!!八王子君なんてそもそもタイプじゃないし。
っていうか、私が八王子君のことが好きだって分かった瞬間の藍の顔、マジでおもしろかったぁ」

「もう!楓ってばひどいよ!」


と笑いながら私は怒る。


「ごめんごめん。でもさ、八王子君と藍ってなんかお似合いだね」


楓の言葉に固まった。


「はぁ。八王子君なんか眼中に興味ない!本当だよ!
確かにかっこいいけど私には不似合いだし付き合うなんて無理無理!会話続きなさそうだもん」

「う~んそうかな。でもさ、2人って意外と接点あるんだよ」

「接点?」

「確か、ファンの子の情報によれば八王子君の誕生日は9月4日のB型でしょ~」

「あっ私と同じだ」

思い返してみれば、らんの藍とあいいちろうの藍も漢字が一緒だ。なんかすごいな~。こんな偶然ってあるんだ~。なんか兄妹みたい。