バチリと視線がからみあう。
色素の薄い鳶色の甘やかな瞳が私を映し──
「だめぇぇぇ!」
「圭人、そっち見ちゃダメー!」
「私!私を見てよ!」
「あ、ずるい!あたしを見て!」
「ミキの方、向いて〜!」
た、と思った瞬間。
ババババッとすごい勢いで斎賀くんを囲んでいた三人組の女子が我先に、「わたしを見て!」と言い合いを始めた。
え?なにこれ?修羅場?
その、あまりの勢いにポカンとするわたし。
こ、これは邪魔しちゃ悪いかな?
じゃあ、わたしはお先に失礼しま......
──ガシリ。
「って、あれ?」
失礼しようとして出来なかった。
誰かが、わたしの右手首をつかんで引き止めたから。
パチクリと視線をむける。
やけに大きくて骨ばった男らしい手がわたしの手首に絡まっていた。
あれ?この手って、どちら様の......
嫌な予感がして、恐る恐る視線を上にあげる。
............キラキラ笑顔の斎賀くんがいた。
「ね、君の名前はなんていうの?教えてくれない?」
......は、はい?