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ことの始まりは数分前までさかのぼる。


放課後、図書委員で遅くまで残っていたわたしは、下校の本鈴がなる前に帰ろうと校舎裏の駐輪場に向かっていた。


すると......



「圭人これ食べてー」

「美味しいんだって!」

「ね、ね、騙されたと思ってさ」



こんな会話が聞こえてきたのだ。


なにやってんだろ?

もうすぐ下校の本鈴がなる時間だよね?


わたしは図書委員で遅くまで残ってたけど、この時間になってくると生徒の数は少ない。



「いいけど...あんま凝視しないでよ。俺、食いにくい」



.......あ、と思った。


苦笑気味だけど楽しげな男子生徒の声。


この声は聞き覚えがある。



同じクラスメイトで学校中の女の子は絶対一度は見惚れたことのある──...。



「......あ」




薄汚れたコンクリート造りの校舎の角を曲がると、そこで女の子たちに囲まれているイケメンと目があった。