わたし、百地 ゆかり(ももち ゆかり)。
いきなりですがピンチです。
『この飴を舐めれば、大好きなあの人がアナタのことを好きになっちゃうかも!?』
パッケージに書かれたポップなフレーズ。
を、呆然とながめるわたし。
その目の前には、なぜかこっちを凝視するイケメン──斎賀 圭人(さいが けいと)。
適度に遊ばせた琥珀色の髪に、鳶色の瞳。
背は高くモデルみたいで、甘いマスクと近寄りがたいオーラをまといながら気さくで、男女ともにファンは多い。
おまけにスポーツ万能、成績優秀の絵に描いたような文武両道の人で、あなたはどこの二次元から来たんですか?と言いたくなるような存在だった。
そんな人がめっちゃこっちを見てきていた。
「えっと......なめちゃった?」
「なめたね」
間髪入れずに返事が返ってくる。
「......美味しかった?」
「美味しかったよ」
ソウデスカ。
......で、あの。
「......わたしのこと、」
「好きだよ」
..........うん。
なんでーーー!!?