この小さな劇団は見事、コンテストで賞をとって、一気に注目されるようになった。

雑誌にも取り上げられるようになって、慣れないながらに対応を頑張る毎日。

今日は取材が入ってる。

「神楽弥さんは、表現力の豊かさが最大の武器だと言われていますが、どういうことを思いながら歌ってらっしゃるんですか?」

「歌うことって楽しいんだって気持ちを忘れないようにしてます。

あと、できるだけ実体験と結びつけながら感情を表現するやうにしてます」

「恋愛がテーマの舞台でも実体験が反映されているんですか?」

「そうですね。

恋する嬉しさも離れる寂しさも共感してもらえるように、私の歌を待ってくれてる人に届くといいなと思います」

いつか、カナトは僕の為に歌ってほしいって言ってた。
でも叶えてあげられなかったんだよな。

次会ったときには、カナトの為に歌いたい。
だから今は、ここからカナトに届くように歌うよ。

「では最後に、神楽弥さんにとって歌とはなんですか?」

「出会いをくれる宝物です」