はっ…!

ここは楽屋?

「何ぼーっとしてるの?
さっさと準備しなさい!」

「は、はい!」

衣装を来た劇団員たちが、忙しなく移動をする。

「ほら。
もうすぐ出番よ」

舞台袖までダッシュで連れていかれる。
そこから見えるのは満席の客席。
そのお客さんの多さに頭がさっと冷静になっていく。

そうだ。
今日は大事なコンテストの日。
あの観客の中に審査員もいるんだ。

「よし、今日までやってきたことを見せてやろう。

神楽弥!頼んだぞ」

「はい」

なんだろう。
ずっと頭がモヤモヤしてる。

何か、とても大事なことを忘れているような…。